「デトロイトメタルシティ」「ヨイコノミライ」でトーク vol.3

http://d.hatena.ne.jp/culcom/20061126#1164557402
http://d.hatena.ne.jp/culcom/20061221#1166714012
前回前々回(↑)のつづきです。

トーク参加者の紹介(また間が空いてしまったので)

Masaoキールterasuyinumash
Ryota似非原republic下向き
イズミ:学生。教員志望。音楽、特にメタルへの造詣が深い。


本編

Inumash:今どうなんですか?例えば昔〜小学校でも中学校でも、誰かと誰かが付き合ってるみたいなのって伏せられていたじゃないですか。

園:え、そうだったんですか?

Inumash:僕、今26なんですけど〜僕等の頃は伏せられていた。

Masao&republic1963:伏せられていたね。

Inumash:それを暴かれると逆に凄い馬鹿にされるというか〜。

terasuy:え、それを肯定されないっていう事ですか?その関係を。

Inumash:肯定される否定されるの前にネタ化される。でネタ化されるのがいやだから伏せる。だから〜修学旅行の時とかに、「お前、誰々が好きなの?」とかいう話が価値が出る。

terasuy:ネタ化されるってのは確かにわかりますよ。だからと言って隠してるっていうのは・・。

キール:隠してないっていうか、私が中学の時は教室とかその辺でディープキスやってる連中いたしねぇ・・。

terasuy:じゃあ、じゃあ学校内で付き合っていたら学校内で合うって事は絶対無い。っていう規律みたいなのはあったんですか?

Inumash:たぶん同じクラスで話してるくらいはあるけど、ちょっと話す、普通に話している感じを装う、ばれてるんですけど〜。

terasuy:あ〜表面上はばれないように装うと。

Inumash:そうそうそう。帰り待ち合わせの場所とか時間をずらしたり。

キール:それは無いって言うか、見た事無い。

Masao:うちらの年代だと、大学のサークルでも似たような感じに続いてる。

terasuy:暗黙の了解的な?

Inumash:だから周りも察するんですよね。

terasuy:ネタにしないでくれって言う、予防線みたいな感じですかね?

下向きさん:その辺のやり方が下手なカップルっていうのは、皆から集中攻撃されるというか、叩かれる。

キール:それはなかったね。

似非原:俺もないね。

terasuy:その辺の感覚は、俺もちょっとわからない。

Inumash:方法がないんですよ。

Republic1963:要は、だから男女間の二者間係において、同じサークル内、コミュニティー内をごちゃごちゃさせんなよみたいな圧力みたいなのが、結構・・。

Inumash:要するにコミュニティーの力学みたいなのってあるわけじゃないですか、例えば恋愛って物凄い強いパーソナルな力学が働くわけですよね。それが働く事によってコミュニティーの力学自体にゆがみを生じさせる可能性があるからぁ、ソレは有るんだけどコミュニティーの中にいる時は伏せようねっていう暗黙の了解が実はあるんですよ。

Republic1963:それをぶち壊しにするのがサークルクラッシャー

キール:ネットゲームは確かにそうでした。ネットゲームのギルドはそうです。

inumash:あ〜近いかもね。バーチャルの方がそういう傾向が強いかも

キール:バーチャルの方だと誰と誰が付き合っているって大体皆わかってたけど、あえて言わなかったりとか、逆にそれを利用して三又、四又する奴がいたりとか。ヨイコノミライに出てきた大門でしたっけ?そのネットラジオやっている子。その子はどっちかっていうと、あのネットゲームの姫。リアルではあんま見ないけど、ネットゲームでは大概どっかしらのギルドに一人はいるっていうか。そんな感じですよね。

似非原:ただね〜あのね、微妙だったりするのは、恋愛って隠す物だって思ったりするわけですよね、大体の人は。

Inumash:でも、それってなんていうか日本的価値観としてあるわけじゃないですか。街で息するなっていうのも、そういう感覚なんですよね?ルサンチマンかというと、なんかちょっとルサンチマンではない。

似非原:いや、だから、それは〜要するに本当にお互い好きだからみたいな所があるわけじゃないですか?どこまで言ったら良いんですかねぇ?自分の古傷をアレするので〜

terasuy:だ、大丈夫ですか?

似非原:僕が付き合ってたメンヘルの女子で、あのその女子とかはコミュニティーで、俺がその子に告白されたんだけど、あのねだからね俺が〜何をこの時直感しかたというと、「あ、こいつは俺と付き合う事をネタにして、皆に受け入れられたいんだな」っと思ったんですよ。

皆:えぇぇぇ。

似非原:それは実際にある。あると思う。僕は思う。

terasuy:それ本当ですか?

似非原:思うし〜実際そうだと感じたんで。

キール:あ〜ネットゲームは結構そういうのある。

似非原:それ、リアルには言えないっていう、微妙な感性が働くわけですよ、いわゆる経験則みないなのがね、あの、なんでもネタ化にしちゃう子っていうの、それで受け入れられたいっていう女の子が居て、その典型だったんですよ。だから〜そういうパターンだろうなっと俺は思ったし、実際サークルの中で記者会見みたいなのをやったんですよ。

masao:リアルヨイコか!

republic1963:矢田亜希子押尾学みたいな?

似非原:そうそうそう、「私達付き合います!」みたいなね。そういう事をやったわけですよ。
一番やばいのは、そういう子だったりするっていう所が〜わりかし恋愛漫画とかで・・・

masao:あ〜確かに本田透が護身してるのは、そういう女しか寄ってこないから〜護身するんだって言ってますもんね。

Inumash:恋愛を伏せるっていうのは、二種類の視点があって〜こっち側からコミュニティーを壊したくないってのが、一個あるんだけど、もう一個は二者間係を他に可視化させることによって、逆にその二者間係が評価されわけじゃないですか。つまり〜僕とA子ちゃんだったら〜僕とA子ちゃんの世界なのに、何故かそれが他の人たちがその間係を見る事によって、例えば、その「なんであんな子と付き合ってるの?」とか「なんでそんな事やってるの?」とか、そういう余計なノイズが入ってくるわけです。だから、それを呼び込みたくないっていうのも確かに有るような気もします。で、例えばコレがある程度いい年代に達してきて、その酸いも甘いも分かってくると〜別にそこにノイズが発生してもかわしたりとか、無視したりとかっていうスキルが発達するので〜、例えば大学卒業したり社会人になったりして、誰かと付き合っているって事を誰かに言う、友達とかに言うのは問題が無いのだけれど、中学高校大学くらいだと、その辺のスキルが身についてないし、不安だから〜呼び込みたくないなのがあるわけで。例えば僕も経験が有るのだけれど、僕が誰かと付き合ってて、本当にその子の事が好きで、たぶんその事が友達にばれていて「お前なんで、あんな子と付き合ってるの?」と言われた瞬間に、その二人の世界が崩れるって言う経験があるんで・・・。

似非原:だから恋愛関係はセカイ系かしやすいんだ。

terasuy:そうなると、平松さんの話に繋がるんですが、この子はどういう感じなんですかねぇ?要は逆じゃないですか? むしろ関係を崩そう、としてるわけじゃないですけど、崩す方向に走っているわけじゃないですか。ある意味でサークルクラッシャーというか。

似非原:平松さんが根岸だったら良かったんだよね。
才能の無い奴ほど自意識こじらせると後々怖い。才能が有ると、それで承認欲がある程度満たされるから、それはそれでOKだったりする訳なんだよね。

Inumash:二者間係だけで満足する場合もあるけど、それを周囲に認めさせることによって、初めて成立する欲求もあるんですよ。僕とかは他のノイズはいらないので、二者関係だけで完結すれば良いでしょって感覚なんですけど、たぶんこの平松さんの場合はそうじゃないんでしょうね。

terasuy:自己顕示欲というか・・。

Inumash:逆にそれがアイデンティティだから、それを認めさせることによってイコール自分を認めさせることになる。そういうある種の短絡が生まれてるんじゃないかな。で、はっきり言って部長君が、物凄いカッコ良くて才能があって誰しも認められてる人間だったら、その構図ってわかるんですけど、そうじゃないから痛々しいしリアルなんですよ。例えば、僕が個人的な好みですけど、加藤ロサと付き合っていたら、そりゃあ言いますよ、皆スゲーって思うわけじゃないですか、でも、それが普通の街の子だったら、そうは言わない。

terasuy:必要性がないですよねぇ。でも平松さんの場合、必要性があった、それこそがアイデンティティを保つ為の道具だった。

キール:お姉ちゃんに突付かれていたからねぇ、「あんた恋人いるの?いないの?」って

inumash:それが物凄い低い階層でやってるから、それが凄く痛々しく感じるんですよ。それが物凄くカッコイイ子だったら、そんなに痛々しくはないんですよ「あ〜なんとなくその気持ちわかるな」って「でもちょっとやりすぎじゃね?」ぐらいの・・。それがそうじゃないから、なんでそんなレベルで自分を強調しようとするのかわからないので、痛く見えちゃう。

キール:それはやっぱ、閉鎖的なコミュニティーというか、漫研の内部で完結しちゃってるから・・。

Inumash:そそ、典型例。

Masao:漫画に出てくる人、皆そうですけどね。あの薀蓄係の天原とかもそうだしー。

Inumash:たぶん、ヨイコノミライに出てくる人って、誰も外部の視点というか評価の耐性が無いんですよ。

Republic1963さん:それはブログやれって事?

似非原:ブログで炎上しろと(笑

terasuy:青木さんを投入する事によって、どう耐性が出てくるかって言う、リアクション、実験みたいなもんですよね。

Inumash:そういう物語ですよね。

似非原:要するに〜オタクが嫌いでこのコミュニティーを潰した行って言う欲求を表しているのは青木さんだって、俺は思ったんですよ。なんでこいつら幸せそうなんだとみたいなね。自分はそのコミュニティーに本当は入りたいんだけど、入れなくて。

inumash:それ多分、生半可外部の視点を意識しすぎているからじゃないですかねぇ。恋愛の間係と一緒じゃないですか。二者関係で満足してれば良いんです、本来、本当は。僕と君で〜お互い肯定しあって、それで完結すれば良いんですけど、そこに例えば余計な第三者の評価を加える事によって、その関係が壊れるっていう力学が働いて、で、それに対して、その二者間係がある程度自分達の中で客観視できていれば、そんなの弾き飛ばせるのだけど、二者間係だけ、本当に相手の事しか見えてないと、いきなり外から攻撃された時に耐性が無い。だからその時にどうリアクションするかが、この物語、恋愛に例えると。

似非原:だから「中途半端な外部意識を持っている」って言いましたよね、だから青木の両親が編集者で漫画家ってでたとき、俺はやっぱり納得できない。それはなっとくできない。だってそれは内部の話だから。それは徹底して内部だから意味が無いんですよ。だから両親が漫画とかゲームとか大嫌いで見せられない、で、本当は入りたくて好きなんだけど、自意識が邪魔をして〜入れないっていうのなら分かるんですよ。

下向き:権力者が弱い奴を潰しているっていう構造って事ですよね。

Masao:いや青木さんの場合は、一回内部から外部に打って出た人なわけですよね。打って出たんだけど、ボコボコにやられちゃって、で内部にいる人が内部だけで幸せにやってるのが妬ましい。

terasuy:逆ルサンチマンみたいなもんですかね?

Republic1963:バックラッシュ

Inumash:バックラッシュというか、ブローバックというか。

Masao:脱オタした人がオタオタした人に説教する、脱オタ説教厨

inumash:で、逆に脱オタした事がアイデンティティになってるっていう、だから手段と目的が逆転しちゃってるんですよね。

似非原:だから、あれなんですよ説教厨だよね?青木さんって。説教という形では無くて〜物語の内部で、自分達がそうやって巣立っていく物語っていうのはアリだと思う。破壊するって形では無くてね。

Inumash:だから実はセカイの外部にいるように見えて、さっきの話じゃないですが内部じゃないですか?だって〜あの話って、一般の人達に言ったら誰も理解しない。

Masao:意識してやってるんだよっていう事も、アピールしているから痛々しいというか、全部に対してメタになってるんだけど、その立ち位置はありえないよ。

Inumash:今、アレやってるじゃないですか、木更津。あの視点は面白いといえば、面白いんですけど、実は90年代半ば、末位までにある程度音楽にコミットしている人達だったら、実はもうとっくに通過している地点なんですよ。あれは日常性とローカリティへの雲泥というか、そこのアイデンティティ化みたいなもの。で、非日常に関する欲求を、どうやって日常性の中で解消していくかっていう物語。

Republic1963:マッドチェスターみたいな?

Inumash:マッドチェスターは、あれは完全な非日常じゃないですか、そうじゃなくて、あの非日常を、どうやって日常中で付き合っていくかみたいな物語、でもそれってもう音楽の世界なら、もうとっくに90年代半ばくらいに、ドラゴンアッシュがあって〜椎名りんごがあって〜そこら辺で通過しちゃってるんですよ、僕らは。

Masao:俺なんかはエヴァンゲリオンって言われたほうがしっくり来るなぁ。

Inumash:かもしれない、それってもう通過してるものとして再生産して再評価してるだけの話であって、普通の人はもう、感覚的に通過しちゃっている所なんですよね。だから今流行ってる音楽って、もう余り自意識感じさせるものって無いわけでしょ?どっちかっていうとBGM化しちゃっている。そこにアイデンティファイする必要が無いと思うのですよ。

似非原:ちょっと僕は気になるんですけど、ヨイコノミライ読みましたよね?イズミさん。多分、この中では一番外部に立っていると思うので、その感想を聞いてみたい。

イズミ:好きなら好きでいいじゃん、と思う。劣等感?サークル内で一人一人が劣等感をい持ちながら、で好きなら好きでいいじゃんと思ってるんですけど、それを無理矢理肯定する事によって、そこに留まっている事ができる。実は自分オタクだっていうのを認めてもらいたい?オタクであることに劣等感がある事をを少なからず見えた。

Masao:オタクの特徴なんですけど、オタクっていうのは他の集団を攻撃しないんですよ。たぶん、ギャルとかの集団というのはオタクとかを見下す事によって自我を保っている。オタクは見下す対象を持たないで自分の中で溜め込んじゃうから、あ〜いう事になっちゃうと思う。

似非原:それは違うと思う、ギャルも実存的な内面を相当抱えてると思う。

Inumash:コミュニティーの力学はたぶん間係ないと思う、ギャルも攻撃対象あるわけだし、逆に被攻撃対象でもあって、攻撃される恐怖と実は戦ってるんだと思う。

キール:オタクにしても、最近は電波男とかが出てきて、恋愛資本主義ウゼーとか、または嫌韓流とか戦争論とかで、韓国中国ウゼーができる。ツールがあるか無いか、有ったか無かったかの差じゃないんですかね?

inumash:回路が接続されてないだけなんですよね。攻撃しないってのは。

似非原:いやだから〜この話で言うならば、一番オタク的なのは青木弟なんですよ。

Inumash:一個疑問があって、DMCにしろヨイコノミライにしろ、それぞれのコミュニティーの中にあるガジェットって出てくるわけじゃないですか、それが何処までリアルタイムにのっとっているかなって、ちょっと微妙かなぁ?って思ったんですよ。

キール:少なくとも、ヨイコノミライは結構リアルタイムだと思うよ。

imumash:でもDMCは実はリアルじゃないんですよね。

terasuy:これはもう、本当80年代とかになっちゃうんですよね?イズミさんが言ってるように、こういうメタルは最近のメタルじゃない。で、渋谷系もそうですよね、今ないじゃないですか、昔は流行ったらしいですけど。

inumash:本当に今笑えるのは、本当に今終わっている文化だから笑えるんです。

テラシィ:でもこっち(ヨイコノミライ)はリアルタイムだから〜丁度オタクが増えてきている。特にしょっぱな〜「お前等消費しているだけだろ?」って言ってるじゃないですか?今、本当に消費ばかりしているオタクばっか増えてきているから、まさに内面をえぐられる。

園:「それはいたいな〜」って感想を言う人っているんですか?ネットとかで

terasuy:痛いっていうか〜痛切って言われています。「これは辛い」読んでいて辛いって。

キール:いやぁ、辛かった。俺だって桂坂みたいな女の子と付き合った事あるもん。あ〜コイツはアイツだぁ、みたいな。手首切っちゃうところとか、僕達は世間からノケモノにされてるんだぁ、とか言うあたりとか、思い出して休憩挟まないと読めなかったね。

似非原:僕は20年前とあんま変わってるとは思わないんですよ。リアルタイムに変わった事って、救いが無くなったって事ですよね?

inumash:昔の救いってなんだったんですか?

似非原:究極超人アールとか?

masao:げんしけんは救いになってる

terasuy:げんしけんヨイコノミライの逆ベクトルって・・言われてるますよね?

キール:だから皆諦めてるっていうか、分相応のポジションに納まっちゃっているって所が、げんしけんのハッピーエンドに繋がった所じゃないですかねぇ?分相応に自分を把握しているっていうか、それに就活とかで外とも繋がらなくちゃいけないし。

似非原:そこはねぇ、素直に大学生と高校生の差って言ったほうが良いと思う。大ニ病なんです、たぶん。ってか、今大ニ病の定義って分かる人います? 俺は大ニ病って言うのは、「あ、そんな時代もあったね」みたいな感じなのが大ニ病なんですよ。大学生になると無駄に余裕ができちゃうから、「あ〜高校生の時、こんなんだった俺も」みたいな。

terasuy:過去の自分をネタにしながらも〜直視できるって感じですかね?

似非原:直視はしてないね、ネタ化して安全地域から見ちゃう。

キール:直撃されないって事だよね?

inumash:玉の返し方わかってますもんね。

似非原:直撃しちゃう人が痛いって思うわけでしょ?ヨイコノミライを見て。

(つづく)